雰囲気和訳シンガー

1.使えるシチュエーション 
 ■友達とどこでも
2.必要な道具
 ■洋楽の曲、歌詞(和訳)
3.おすすめ人数
 ■3〜5人
4.遊び方
 ■遊び説明
 みなさん。 

 
 僕は今、恋をしています。


 行きつけのカフェ「place in the sun」のソファに座って本を開いている彼女に。
 毎日その前を通るたびに、今日はいるかな、いないかな。
 そんな好きな人に会えるから学校に通っていた中学生のように。


 彼女は、友達にエイミーと呼ばれています。
 でも、外人ではありません。目鼻だちがはっきりしていて身長もスラっとしているから、そう名づけられたのでしょう。
 もしくは、エミや、エイミなど近い名前なのかもしれません。


 彼女はよく、紫を身に着けています。
 ニットカーデガン、エスニック風のスカート、Tシャツ、和柄の髪留め、薄手のストール 
 いつもどこかに紫が入ってて、ミステリアスな印象を漂わせています。

 
 そんな風に遠くから見つめるだけの恋でした。


 でもそんなある日、僕が座って本を読んでいると、彼女はたまたま前の席に座ったんです。
 いつものように彼女が本をバッグから出したとき、僕は何を読んでるのか気になって、さりげなく目をやりました。


 「同じ作家だ」


 僕がはっとして、目を見開いたとき、彼女と目が合いました。
 彼女も気付いたみたいで、少し照れ笑い。
 僕も笑顔を作ろうとしましたが、顔がひきつって、思わず目線を本に下げました。
 

 それだけのこと。でも僕にとっては大きな出来事でした。 


 それからしばらくして、彼女はぱったりとそのカフェに来なくなりました。
 僕はあの時少しでも話さなかったことを後悔し、自分のシャイな性格を恨みました。


 後悔や自分に対する怒りや失望感、何もかもの感情を僕はギターにぶつけました。
 歌詞がわからず、それまでチャレンジしなかった洋楽も、メロディが好きなもの練習し、毎日毎日レパートリーを増やしていきました。
 

 気付けば僕のレパートリーは数百曲を数え、そこらの上手な人ぐらいには負けないテクニックと自信を身につけていました。
 「シャンパンで祝おう。僕のミュージシャンとしての門出に」
 突然そんなことを思った僕は、近くのワインショップまで足を運びました。

 
 ミニサイズのモエ・シャンドンをレジに出した僕は、店員さんの手首に紫のバングルを見ました。
 顔を上げると、彼女はやっぱりあのカフェの彼女でした。


 僕はもう恐れずに彼女の目を見て、笑いました。
 彼女も、笑いました。


 カフェでの話をしたら、彼女は確かにカフェで見たことがあると驚いていましたが
 目があったときのことは覚えていないようでした。
 でもいいんです。僕はもう以前の僕ではないんだから。


 僕は彼女とメールアドレスを交換し、それから後にデートの約束もとりつけました。
 初めてのデートでは、彼女にピッタリな曲を弾いてあげよう。僕はそう思いました。
 

 ワインショップで働くエイミーにちなんで、
 エイミー・ワインハウスのメジャー曲「リハブ」が彼女にぴったりかもしれない。
 モータウン調なメロディがいいよね。
 

 それに、昼間は彼女はアルバイトばっかりしてたからカフェに行けなかったっていうから
 スティーヴィー・ワンダーの「パートタイム・ラヴァー」とかもいいかもね。
 うん、この2曲がいいチョイスかもしれない…。



 僕たちはまだまだこれからです。
 でもその未来は陽の当たるあのカフェのように明るい。


 …
 …
 …

 コラコラコラーッ  
 今完全にそっかぁ、とか普通によかったなぁ、とかそういうので流そうとしたでしょ。


 最悪っ、最悪だよこの「僕」
 だいなしっ、だいなしだよエイミー・ワインハウスの「リハブ」。

 
 こんな麻薬のリハビリの歌がピッタリなんて言われた日には、狂喜乱舞から「喜」を消した状態になっちゃうよ。
 しかも結局「リハビリ行きたくない」って言ってるからねこの歌。


 私って何かリハビリが必要なの?って疑心暗鬼に陥っちゃうよ彼女。


 それに2曲目、「パートタイム・ラヴァー」。
 これがまたひどいっ、完全にやっちまったなぁ
 
 「パートタイムジョブを愛してる人」みたいな感じでとってるけど
 これ浮気不倫の歌っ
 フルタイムでは愛してないってこと。


 私って浮気(不倫)相手なの?
 それとも浮気者と思ってるの?

 
 どっちしろダメだなぁこりゃ。
 僕たちの未来は明るい風のこと言ってるしよ〜。
 「うん、この2曲」じゃなくて、このシチュエーションにおいては「うん○の2曲」もいいとこだよ。


 …
 …
 つまりさ、何が言いたいかっていうと、
 ちゃんと歌詞を理解してから歌おうぜってことさ。
 たださ、英語ってけっこう勉強するの大変だよね。


 だからさ、このゲームで雰囲気和訳できるようになろうぜっ。

  
 ■具体的な遊び方       
  1)とりあえず洋楽の曲を一曲選ぶ。


    この曲選びはけっこう重要だぞ。
    みんなの英語のレベルを考えて、なるべく難しいのを選ぼう。
       
    初級レベルなら普通のテンポのラブソングとかでもいいかもしれないけど
    TOEIC900いってますよみたいな人がいる場合は、やたら早いヒップホップとか何て言ってるかほとんどわからない歌手を選ぶといいぞ。


    もちろん、メンバーの誰もが歌詞を知らない曲じゃないとね。    


  2)曲を流す。2回ぐらい。
    とりたい人はメロディの感じや聞き取れた単語があれば簡単にメモなんかをとっちゃった方がいいぞ。

  
  3)雰囲気和訳歌詞制作だ。

    メロディの雰囲気やタイトル、聞き取れたかすかな単語を頼りに1メロ、1サビぐらいの歌詞を作ってみよう。


  4)発表。
    発表は実際に曲を流しながら訳した歌詞を歌うって形で行う。
    「ア・チ・チ〜ア・チ」ってノリでな。

  
  5)講評
    本当の歌詞と比べてみる。
    一番近かった人は、ベスト雰囲気和訳ライターだ。
    近くもなかったけど、何かよかった、ウケた、とかの人はベスト替え歌ライターかな。

   
    雰囲気やかすかな単語から詩を作るのは思ったより大変だぞ。
    気付けば君も雰囲気詩人!雰囲気。


     ★鳥男のダメだし★